第10話 キルタ二スト
マリアカラスというオペラ歌手をご存知ですか?
世界的に超有名で、亡くなって40年以上たった今もなおオペラファンに愛され続け、オペラ歌手たちに尊敬され続けている伝説の歌手です。
このマリアカラスが残した言葉をご紹介します。
『歌に関して言えば、私達は死ぬまで学生なのよ。』
そうなんです。音楽を志す人間は死ぬまで学生、つまりずっと学び続けなければならないということなのです。
このようにオペラ界の頂点に君臨し、世界を感動させた偉大な歌手でさえ自分のことを学生だと言っているのです。
世の中には自分のことを『キルタ二スト』と名乗っている人が沢山いますが、インド音楽というものは果てしなく奥が深い世界ですから、そう簡単に『キルタ二スト』になんてなれるものではありません。
本物のキルタニストになりたければ、謙虚な姿勢で、忍耐強く、真面目に誠実に休むことなく何十年も学び続けなければなりません。
もちろんテクニックを磨くだけでなく、精神的にも発達しないと良いキルタンはできませんしキルタニストにもなれません。
自分の心の状態が全て音楽に現れてしまうからです。
その人がどういう人間か、話をしなくても歌を聞いたら分かります。
人を感動させる歌は、声の美しさや音程の正確さやリズム感の良さだけではなく、
その人の心の状態やムード、その人の持っている愛にかかっています。
自己満足のキルタンではなく、愛のあるキルタンを目指しましょう。
そしてマリアカラスのように謙虚に学び続けましょう。