第3話 キルタンの歌い方
キルタンは捧げるものだ、と第1話でお伝えしました。
インドのヴェーダ式のお寺では何でもまずは神に捧げます。
食事も、沐浴して身を清潔にしてから調理し、作っている途中で味見はしません。
まず、1番に神に食べていただくためです。
それと同じで、キルタンでリードをする人は自分が歌った声を神に捧げるのですから、まず自分で聞こうとしてはいけません。
身体の構造上から見ても、口は顔の前にあり、耳は横にありますから、自分の声を聞こうとすると声は前に飛びません。
これは発声的に言っても良くない事です。
声は前に、遠くに向かって響かせます。自分の体から声を離す感じです。
そんな事しなくったってマイクがあるからいいんじゃない?と思われるかもしれませんね。
実は声は波動ですから、機械を通すと波動が変わってしまいます。
ですからなるべく生の声で歌うのが良いとされています。
キルタンで歌われる、神の名前や神の栄光はとても純粋な波動ですので、変わってしまうともったいないですね。
それから、歌い方ですが、私が子供の頃は音楽の先生が「口を大きく開けて、歌詞をはっきり発音するように歌いましょう!」と指導していました。
これは大きな間違いです。
なぜなら口を必要以上に大きく開けたら、そこから息が漏れてしまうからです。
息が声になりますから、息が漏れては良い歌は歌えません。
そしてはっきり発音しようとすると口に余計な力がかかります。
歌だけでなく、スポーツでも何でも余計な力が入ると良い結果は生まれません。
力を抜く事こそ大切なのに、わざわざ力が入るようなやり方をする必要はありません。
自然な口の開け方と、自然な発音の仕方で十分なんです。
迫力を出すためにのどに力を入れて歌う人がいますが、これはやめましょう。
声帯はデリケートな器官ですので、ポリープができる原因となります。
自分の声が嫌いだ、という人がけっこうおられますが、あなたの声は世界でたったひとつ、あなたしか持っていません。
これは神様からの贈り物です。
神様からの最高のプレゼントであるあなたの声に自信を持って素敵なキルタンをしましょう!